秋真 in 政治

政治ネタでTwitterとかだと書きにくい長文を不定期に投げる場所。

ビッグモーターと経営計画書

今回は寄り道。政治の話では(少なくとも狭義では)ない。

 

さて、ビッグモーターの保険金不正請求問題が騒ぎとなっている昨今。

社長が報道に不満を漏らして騒ぎが大きくなっているが、「保険金不正請求問題については」本業である中古車販売部門の問題ではなく、(売上規模の小さい)板金修理部門の問題で主業たる中古車販売部門側に影響が及ぶのは面白からざる事態ではあろう。

閑話休題

なぜ久々に日ごろ書いていないブログを引っ張り出したのかというと、テレビ朝日のニュースを目にして強く気になったことがあったためである。

【独自】ビッグモーター「幹部に部下の生殺与奪権」組織の方針示す『経営計画書』入手

ここで経営計画書の内容として掲げられている、『経営の原点12カ条』というのは京セラ、稲盛和夫が掲げたものであろう。

経営12カ条 | 経営 | 稲盛和夫について | 稲盛和夫 オフィシャルサイト

 「目標達成のためには、潜在意識に透徹するほどの、強く持続した願望を持つこと」というのは第3条、 「経営には、いかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要」というのは第8条の添書きとして掲げられている。 

 

また、「能力と考え方」と題した表についてはGE、ジャック・ウェルチの評価基準として知られているものから来ているものだろう。

どうもマネジャー層、リーダー層の評価基準として掲げられたものが一般社員にも適用されるものとして本邦で受容されるように変化しているのではないかという気がするのだが、手元に『ジャック・ウェルチ わが経営』など参考資料があるではないので断言は控えたい。

 

行事に参加した回数を人事評価に反映するというのもよく聞く話のように思える。

小山昇の経営者アカデミー - \ 武蔵野の人事評価の方針とは!? /~絶対評価と相対評価を組み合わせる~... | Facebook
著名コンサルの書籍紹介があったので引っ張ってきた。

3.方針共有点
価値観を共有するための勉強会や行事に参加した回数をポイントにしています。

とのことである。

 

ここまで、これら記述がビッグモーターに特異なものではないことを述べた。すなわち、これらの記載はビッグモーターが特異であることを示さないものと考える。

つまり、これらが問題の遠因であるとすれば、問題が起きている、あるいはその予備軍である企業はそれなりに多くあるのではなかろうか。

"経営計画書" "唱和" -ビッグモーターでの検索結果は2000件を超える。2000件しか、とみるべきだろうか、2000件も、とみるべきだろうか。

加計問題――構想の推進者としての市と県と学園

治市長「もう前を向いて」=獣医学部問題:時事ドットコム

 この記事を読んで微妙な顔をしたので、ちゃんと記録しておこう。

 いわゆる「加計問題」とは何かというと、学校法人加計学園が大学獣医学部を設置するに際して不正があったのではないかという疑惑である。

 獣医学部の新設については長年強く制限されていたところで今治市が新設を要請し続けた経緯があり、愛媛県もあわせて働きかけを行っていた。また、要請の初期から具体的な設置主体としては加計学園が想定されていた。

構造改革特別区域推進本部-第12次提案募集関係 - 地方創生推進事務局から構造改革特区に関する当事務局と各府省庁のやりとり文科省の項を参照)

 つまり、今治市長は、ついでに加戸愛媛県前知事も、今治市への学校法人加計学園が運営する獣医学部の新設を推進してきた立場である。当然ながら。どっちも別に隠してもいなかったと思う。隠す意味も理由もないし。

 で、そういう立場の人が、もう不正があったかどうかに拘泥するのはやめよう、と言い出すのはまあ何というか、不正の有無にかかわらず微妙だろう、というのが微妙な顔の背景。

 ところで、彼らを公正公平な第三者だと思っている人がときどきいることには驚かされる。推進側であることは別に間違っていることを(正しいということも)意味しないが、しかし完全に推進側の一員であることを無視して中立的立場であるとすることは間違っていよう。

PKO日報と戦闘――戦闘はどう規定されたか

これも旬を過ぎた話だが、まあまとめておこう。

自衛隊PKO日報において、戦闘という言葉が使われ、それに関する国会答弁では法的な意味における戦闘行為ではない、とされた。

いろいろそもそも論があるようだがここでは置く。基本的に今更私が書く隙間がある話でもない。

今回の話は「法的な意味における戦闘行為」すなわち「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」である、というのはいつ頃どう定められたのか、という話であるが、たぶん追えていないところでいろいろあると思う。教えていただければ嬉しい。

 

さて。国会答弁における、「法的な意味における戦闘行為」とは何ぞや、というのは当時に質問主意書が出ており、政府回答がある。衆議院議員岡本充功君提出戦闘行為と、戦闘、衝突に関する質問に対する答弁書だ。ここでは自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)とか言っているが、別に昭和二十九年からあった記述ではない。法律を特定するときに最初に出たときの番号で呼ばれるという、ただそれだけの話である。

では、いつ書き足されたのか。ずばり、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律平成27年法律第76号)である。通称を平和安全法制整備法という。読めば自衛隊法に現存する戦闘行為の文言がこの法律で書き足されたのははっきりしていると思う。

では、それは何を元に書かれているのか。

ずばり平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が 国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法、つまり旧テロ特措法の記述である。第二条。

このとき、第153回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第3号(平成13年10月11日(木曜日))では暴動やテロはどうするんだ、という話は出ており、総合的に判断するとかそういう話になっていっている。

第153回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第4号(平成13年10月12日(金曜日))を見ると『憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいう』という話がでており、これは法制局の以前からの解釈らしい。九条の定める武力の行使の解釈上出てくる戦闘行為が国際的な武力紛争の一環としてのものであるために、(一体化論とかで)武力の行使に当たらないためには国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為を避ければ足るため、それを避ける条文にした、というのが妥当なところではあるまいか。

そんなところで。

 

森友学園問題――資料を読んでの感想

 

書き直している間にまたぞろいろいろ話が流れ、旬が二つ三つ過ぎてしまった。しかしここでは前記事の内容に対する個人的な所感にとどめるものとする。書くと言ったから書く、その程度の話とする。

1.特例的対応とかその辺の語句はあろうがなかろうが変わらない。イレギュラーな対応なのは書き換え後の文書からも分かる通りであり、語句の有無はあまり意味をなさない。それをあえて行ったのは枝葉末節をとらえての批判が多くある現状からであると思われ、その点批判側はもう少しうまくやるべきであろう。

2.発端として鴻池事務所の紹介があったことはおそらく事実であろうし、鴻池事務所が紹介を行うこと自体に問題があったとは思われない(紹介した相手に問題があったところは問題であるが)。ただし財務省内部でそこにウェイトを置いていたことには問題が起こり得ないとしない。

3.平沼事務所鳩山事務所から『高額であり、何とかならないか』というクレームがついたというのはそのまま事実であれば割と問題であろうという認識である。使える制度はないか程度のつもりかもしれないが働きかけ方としてよろしくなかろう。

4.明恵夫人に関するコメントが書かれていたのが理財局に出す文書(04,05)に限っていたところを重要視している:対応していた本人たちはあまり重視しておらず、しかし中央は気にするかもしれない、のような雰囲気を感じるからである。

5.「いい田んぼになりそうですね」と「いい土地ですから前に進めてください」を同じ会話の中で言うことはあり得ることであり、矛盾ではない。

 

そんなところで。

森友学園問題――財務省が書き換えた資料の中身

 Twitterですごく雑な要約が流れてきたのでむしゃくしゃしてやった。
この文書も雑な要約であるが適当に補完的役割を果たせれば幸いである。

 意見は別記事とし、とりあえず(主観的取捨選択は入りながらも)内容をまとめることを主眼としたい。

 ソースはNHK「森友」文書 書き換え 財務省の調査結果 全文書掲載|NHK NEWS WEB)による。

 

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