秋真 in 政治

政治ネタでTwitterとかだと書きにくい長文を不定期に投げる場所。

PKO日報と戦闘――戦闘はどう規定されたか

これも旬を過ぎた話だが、まあまとめておこう。

自衛隊PKO日報において、戦闘という言葉が使われ、それに関する国会答弁では法的な意味における戦闘行為ではない、とされた。

いろいろそもそも論があるようだがここでは置く。基本的に今更私が書く隙間がある話でもない。

今回の話は「法的な意味における戦闘行為」すなわち「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」である、というのはいつ頃どう定められたのか、という話であるが、たぶん追えていないところでいろいろあると思う。教えていただければ嬉しい。

 

さて。国会答弁における、「法的な意味における戦闘行為」とは何ぞや、というのは当時に質問主意書が出ており、政府回答がある。衆議院議員岡本充功君提出戦闘行為と、戦闘、衝突に関する質問に対する答弁書だ。ここでは自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)とか言っているが、別に昭和二十九年からあった記述ではない。法律を特定するときに最初に出たときの番号で呼ばれるという、ただそれだけの話である。

では、いつ書き足されたのか。ずばり、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律平成27年法律第76号)である。通称を平和安全法制整備法という。読めば自衛隊法に現存する戦闘行為の文言がこの法律で書き足されたのははっきりしていると思う。

では、それは何を元に書かれているのか。

ずばり平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が 国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法、つまり旧テロ特措法の記述である。第二条。

このとき、第153回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第3号(平成13年10月11日(木曜日))では暴動やテロはどうするんだ、という話は出ており、総合的に判断するとかそういう話になっていっている。

第153回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第4号(平成13年10月12日(金曜日))を見ると『憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいう』という話がでており、これは法制局の以前からの解釈らしい。九条の定める武力の行使の解釈上出てくる戦闘行為が国際的な武力紛争の一環としてのものであるために、(一体化論とかで)武力の行使に当たらないためには国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為を避ければ足るため、それを避ける条文にした、というのが妥当なところではあるまいか。

そんなところで。